近鉄飛鳥駅前の「あすか夢販売所」でびしゃこが売られていました。
びしゃことは、仏壇やお墓に供える花木として知られる姫榊(ひさかき)の別名です。榊によく似ていますが、榊とはまた違った品種とされます。
一束120円で販売されていた「びしゃこ」。
びしゃこという呼び名は、奈良県の最南端に位置する十津川村の方言が広まったものとされます。
榊と見た目もよく似ていますが、葉っぱの縁にぎざぎざの鋸歯が見られるのがびしゃこで、ぎざぎざが無いのが榊です。
ひさかき生産量ナンバーワンの和歌山県
神社の境内でもよく目にする榊。
神界と俗界の境目を意味する榊。繁栄を意味する「繁木」に由来するとも言われます。
神聖でクリーンな印象を与える榊ですが、仏壇に供える花木としても重用されています。「びしゃこ」という名前は主に関西エリアで使われているようで、姫榊の生産量の実に8割が和歌山県に集中しています。奈良県の十津川村と和歌山県は隣接していますから、びしゃこの由来にも納得がいきますね。
於美阿志神社の本殿。
昔は聖域との境目に榊の木を植えていたのでしょうか。
飛鳥駅から東へ向かえば、高松塚古墳や天武持統天皇陵へとアクセスします。南へ歩を取ると、於美阿志神社やキトラ古墳へと続きます。飛鳥観光に訪れるほとんどの観光客が高松塚古墳方面へ向かう中、於美阿志神社方向へ足を向けてみました。
収穫されないままの状態の白菜でしょうか。
於美阿志神社(檜隈寺跡)へ向かう途中、東の文武天皇陵方向を望みます。この辺りはちょっとした高台になっていて、眼下にゲートボール場をはじめとしたグラウンドが広がります。
長閑な飛鳥の田園風景といった趣です。
あすか夢販売所への抜け道に菜の花が開花していました。
榊の近縁種である「びしゃこ」は、小さいことから「姫榊(ひさかき)」と言われるようになったようです。
あるいは、榊よりも安価に手に入れることの出来るびしゃこは、あくまでも榊ではないことから「非榊(ひさかき)」であるという説もあります。飛鳥で菜の花を目にすると、石舞台古墳の菜の花の開花状況が気になりますね。
ポリフェノールを含有する紫人参。
あすか夢販売所の店内には、さすがに農産物直売所らしく、他のスーパーではなかなかお目にかかれない珍しい野菜も売られています。
近鉄飛鳥駅。
あすか夢販売所は飛鳥駅の真ん前にあります。
今回は「びしゃこ」という奈良の方言に出会ったわけですが、奈良には面白い方言が幾つかあります。
邪魔くさい、面倒くさいを意味する「おとろしい」や、準備をする、支度をするを意味する「まわりをする」等々。その地方に伝わる方言を味わうのも旅の楽しみの一つでしょう。