登大路に面する奈良市春日野町の氷室神社。
毎年5月1日に催される献氷祭で知られる氷室神社ですが、枝垂桜の季節以外に訪れるのは今回が初めてでした。
氷室神社の境内に、氷献灯と題するポスターが貼られていました。
奈良県御所市にも氷室(ひむら)という地名が残されていますが、氷を貯蔵する場所がその由来となっています。「延喜式」によると、大和国には30箇所もの氷室があったと伝えられます。
拝殿や舞殿、舞光社!氷の神様の境内を見学
献氷祭も一度見てみたいと思っているのですが・・・
仕事柄、GW真っ只中ということもあってなかなか出向くことができません。全国各地から製氷・販売業者が参列し、今年の業績成就を祈願する献氷祭は見所の一つとなっています。
氷室神社の鳥居。
私が訪れたのは8月の猛暑日。参拝客を出迎えるように、涼しげなミストが噴き出ていました。近鉄奈良駅から登大路を東へ進み、東大寺駐車場へと左折する手前に氷室神社が鎮座しています。
氷室神社拝殿・舞殿。
楽人によって舞楽奉納を中心とする祭りが行われていた歴史の名残を感じさせます。
氷室神社の名物である枝垂桜が四脚門の手前にあることもあってか、今まで四脚門より中へ入ったことがありませんでした。こんなに立派な建物が佇んでいるとは知りませんでした。
絵馬も見られますね。
氷室は水を凍らせるために適当な山間部に置かれることがよくありました。
平城遷都の頃から吉城川の上流に氷池を作り、寒い冬の時期に張った氷を氷室に貯蔵していたと伝えられます。平城京に奉納するための氷であったことは言うに及びません。
吉城園の近くを流れる吉城川の流れを聴いていると、古来より清浄な水に恵まれた場所であったことが推測できます。
境内に掲げられた絵馬の向こうに祠が見えますね。
氷室神社の末社・舞光社。
仁徳天皇歌碑の横に、南都舞楽の楽祖である狛光高公が祀られています。
四脚門にもポスターが貼られています。
氷室神社の献氷祭では、海の幸である鯛と川の幸である鯉を凍結した高さ1mもの氷柱が奉納されます。一度是非、この目で見てみたい氷柱ではないでしょうか。
氷室神社の枝垂桜。
四脚門の向かって右手前にあります。
奈良県下で最も開花の早い桜として知られます。
地球温暖化の進む昨今、氷の重要性は益々高まるばかりです。
記録的猛暑の記憶が蘇る今夏も、大量の氷が消費されたのではないでしょうか。冷蔵庫や冷凍庫の無かった時代を想像すれば、その希少性は今をはるかに凌ぐものだったでしょう。
氷のデザートと言えば、頭がキンキンするほどのスムージーを思い浮かべます。
かき氷もさることながら、ミントなどの香草をきかせたスムージーの爽やかさは、暑い夏を乗り切るにはこの上ない贅沢です。昔の人もやはり、氷を使った料理を色々工夫していたのではないでしょうか。
氷室神社の住所は、奈良市春日野町1-4。
拝観料は無料で、駐車場は1時間500円(上限2,000円)(※桜の季節のみ30分500円)となっています。東大寺へアクセスする手前にある神社ですので、東大寺参拝のついでに立ち寄られてみてはいかがでしょうか。