新鮮な瘤鯛(こぶだい)が入荷しました。
寒い時期に旬を迎えることから「寒鯛(カンダイ)」とも呼ばれます。産卵期が春に当り、産卵直後は味が落ちます。1m以上にもなる大型魚ですが、入荷した個体は40cmほどでした。
コブダイの姿造り。
瘤鯛は水分を多く含んだ魚で、もちもちした白身で楽しませてくれます。ウロコを取って内臓を抜き、一日寝かせてから三枚おろしにしました。肉厚の身で、とても美味しい魚です。
雌性先熟の瘤鯛!喉の奥の咽頭歯
コブダイを捌いていて面白いことに気付きました。
鰓(えら)の周りとその奥に、咽頭歯と思しき歯が付いていました。コブダイは岩礁域に棲むベラの仲間で、普段は貝類や甲殻類をバリバリ噛み砕いています。硬い殻を持つサザエや牡蠣を好むと言いますから、その歯の丈夫さがうかがえますね。
頭部の瘤が少しずつ大きくなり始めた個体です。
もっと成長すると瘤が巨大化し、名前に似つかわしい姿になります。ちなみに大きく成長したコブダイは全て雄なんだそうです。そして、大きくなる前段階のコブダイは全て雌です。つまり、雌性先熟の魚ということになりますね。
コブダイの刺身の他にも、本鮪、鰺を並べてみました。
口を開けたコブダイは迫力あります!それにしても、立派な歯をしています。
喉の奥からこんなものが出てきました!
おそらく咽頭歯の一部だと思います。
前の歯で噛み砕いた後、奥の歯でもさらに細かく磨り潰しているのでしょう。
赤褐色の魚体です。
幼魚の内はオレンジ色で、体表には縦縞が走っているようです。
コブダイの背ビレ。
特徴的な形をしていますね。先端が波のようにうねっています。
コブダイの胸鰭。
鋭角ではなく、弧を描くように丸い形です。
ちょっとおでこが膨らんでいます。
触ってみると、ぷよぷよした触感で気持ち良かったです。
上の方が皮を引いたコブダイの白身で、下は焼霜造りです。
比較的厚めの皮にも旨味が感じられました。とにかくモチモチした身で、その弾力を味わいます。
コブダイは分類上、スズキ目ベラ科に属しています。昼行性の魚で、夜間はじっとしているようです。カンダイ、モブシ、モムシなどの別名を持ち合わせます。
コブダイの歯。
とても魚の歯とは思えないですね。
四角い尾びれ越しに顔を覗き込みます。
石垣鯛のようにコリコリした身ではありませんので、ご高齢の方にも喜ばれるのではないでしょうか。ある意味、コブダイは高齢者向きの刺身なのかもしれません。