コスモスとの競演で引き立つ三重塔。
現存最古の三重塔とされる斑鳩法起寺周辺を歩いて参りました。
金堂が西で、塔が東に建つ法起寺式伽藍配置は法隆寺とは逆になります。法起寺の宗派は法隆寺と同じ聖徳宗で、十一面観音菩薩をご本尊とします。
法起寺三重塔とコスモス。
奈良の秋を代表する風景です。
境内に足を踏み入れなくても、その周辺を歩くだけで見事な風景を楽しむことができます。県内のコスモスの名所と言えば、般若寺や安倍文殊院を思い浮かべます。いずれも拝観料を納めて境内で見るコスモスですが、ここ法起寺は事情が少し違います。
農地立ち入り禁止!マナー順守で楽しむコスモス
法起寺周辺に咲き誇るコスモス。
境内から外側の北東から東、南方にかけて色とりどりのコスモスが開花していました。周辺の農地に立ち入ることは禁じられていますので、くれぐれも注意して楽しみましょう。
法起寺三重塔を背景に咲くコスモス。
こんな感じで、あらゆる角度から”秋”を満喫します。
均整の取れたフォルムで、飛鳥様式を今に伝える三重塔。
この日は中宮寺跡史跡公園の見学を終え、斑鳩三塔を巡りました。散策ルートの中で一番初めに訪れたのが法起寺でした。整備された史跡公園から見れば、ここは北東方向に当たります。
中宮寺跡史跡公園から秋葉神社、幸前神社を参拝し、さらに北へ向かうと、北東方向に三重塔が見えてきました。
手前の畑地に咲いているのもコスモスですね。拝観口へと続く道をフェンス越しに望みます。
「法起寺前」バス停。
境内西の拝観口から北側へ回り込むと、県道9号奈良大和郡山斑鳩線に出ます。通り沿いに奈良交通のバス停留所がありました。
右手へ降りて行くと駐車場のようです。
駐車場から東へコスモス畑が広がっていました。
「お願い」と書かれた案内板が立っています。
農作業の支障となりますので駐車しないで下さい。 岡本農家組合・岡本自治会
整備された細い道を進みます。
青空も広がり、ちょっとしたハイキング気分です。
蓮の葉の向こうに法起寺三重塔を望みます。
その右奥には、講堂や収蔵庫と思しき屋根も見えます。
ここはかつて、聖徳太子の岡本宮があった場所です。太子の皇子・山背大兄王が太子の遺言によって寺を建立しました。ご本尊の十一面観音は平安時代に造られた立木仏とされます。杉の自然木から彫り出されており、霊木信仰の名残を感じます。現在は境内の収蔵庫に安置されているようです。
見頃は少し過ぎていたのかもしれませんが、それでも十分に楽しめました。
安倍文殊院とは違い、広々としたスペースに咲くコスモスです。その分、野趣が感じられていいですね。
「農地へは立ち入らないでください!」
写真撮影に夢中になって禁止事項を犯さないようにしましょう。
世界遺産のお寺ですから、外国人観光客も多数訪れます。イラストで案内されているのも頷けますね。
細く伸びる茎先に咲くコスモスの花。
どのアングルがいいか、あれこれと試行錯誤が続きます。
兵火などもあって荒廃が進んでいた法起寺。
江戸時代には三重塔を残すのみだったようです。
たわわに実る柿と三重塔。
奈良県は和歌山県に次ぐ柿の一大産地でもあります。
三重塔だけだった法起寺ですが、元禄7年(1694)に本堂、文久3年(1863)には聖天堂が建立され、現在の寺観が整いました。
法起寺南大門。
金剛力士像が立つわけでもなく、随分小ぢんまりした門です。
世界遺産法起寺の南大門。
拝観受付は西側にあり、この南大門は閉ざされたままです。
三重塔は境内の東側に建っています。
聖徳太子臨終の遺命を受けた山背大兄王。
岡本宮を寺に改め、大和と近江の田を施入して寺領としたことに法起寺の歴史は始まります。
法起寺の軒丸瓦。
法起寺の所在地は斑鳩町岡本で、「岡本尼寺」の異名を持ちます。
聖徳太子が法華経を講じた岡本宮。
田園地帯にそびえる三重塔は、斑鳩を代表する風景に溶け込みます。