法隆寺に伝わる七不思議。
その内の一つに南大門前の鯛石(たいいし)があります。
境内から下って来ると、頭を左、尾を右にした尾頭付きの鯛が地面に埋め込まれていました。
法隆寺の鯛石。
意図的にこの形状に作られているのか否かは不明です。
頭を少しもたげ、今にも動き出しそうな躍動感があります。
水害のお守り!洪水による水位の上昇を抑えた鯛石
法隆寺の南方を東西に流れる大和川。
大雨により大和川が氾濫した時も、不思議なことにこの鯛石の所までしか水が上がって来なかったと言います。いつしか南大門前の鯛石を踏むと、水難に遭わないという伝説が広まったようです。
南大門前でカメラを向ける女性。
今まさに、鯛石を踏んでおられます。
西院伽藍の撮影に夢中で、鯛石のことなど気にも留めていらっしゃらないでしょう。
表面の色が少し変わっていますね。
おそらくこれは、多くの観光客が踏みしめた証です。
法隆寺の七不思議と言えば、鎮壇具(ちんだんぐ)を納める伏蔵を思い出します。
未だに謎に包まれた「開かずの蔵」ですが、境内の三箇所にあります。写真の伏蔵は大湯屋表門前のものですが、西院伽藍の南西にも存在しています。
観光案内所『法隆寺iセンター』の夢殿立体模型。
法隆寺の夢殿が忠実に再現されています。
実はこの夢殿にも、法隆寺の七不思議が伝わっています。
夢殿のご本尊・救世観音像の仏前にある礼盤(らいばん)が汗をかくと言うのです。礼盤とはお坊さんが座る台のことですが、その裏側が湿気を帯びるようです。毎年2月になると、夢殿の礼盤に日光を当てる「夢殿のお水取り」が行われます。陽の光により帯びる水気の量によって、豊作か凶作かを占うようです。湧き出てくる水分を「観音の水」と呼び、その年の雨量を占います。
法隆寺南大門前の踏石に注目!
正面から法隆寺にお参りする際、必ず通るルートになります。
知らずに見過ごしている人が大半ですが、長い歴史の中で法隆寺を水害から守ってきた立役者ですから、有難い気持ちで踏みしめたいですね。
南大門の柱。
法隆寺南大門には、お決まりの仁王像が見当たりません。
どこで睨みを利かせているのかと思いきや、南大門からさらに奥にある中門です。日本最古の仁王像(金剛力士像)が立っていますので、是非じっくりとご覧下さい。
南大門から中門方向を望みます。
中門左奥に見えているのは法隆寺五重塔です。
五重塔九輪の鎌も七不思議の一つとされます。4本の鎌が九輪に刺さっているのですが、どうやら落雷除けのようです。聖徳太子の怨霊封じという説もありますが、落雷による火事を防止する意味と考えた方がいいでしょう。五行の木火土金水に照らし合わすと、雷は「木」で鎌は「金」に相当します。金は木に勝ることから、そこに鎌が掛かっているものと思われます。
修学旅行生の姿が目につきました。
あちこちで記念の集合写真が撮られていました。
邪魔をしないように、するりと避けながらの移動です。
この他にも、「因可の池(よるかのいけ)の蛙には片目が無い」「法隆寺伽藍には蜘蛛の巣が無く、雀の糞も見当たらない」「法隆寺には雨が降っても地面に穴が開かない」等々の七不思議が伝わります。
真偽のほどはさておき、言い伝えの多いお寺には庶民の愛着が感じられますね。