高級魚とされる赤ヤガラが入荷しました。
あっさりとした中にも濃厚な旨味が感じられるヤガラですが、今回はお刺身としてお出ししました。
アカヤガラが2尾入荷しました。
随分細長い海水魚です。もちろん秋刀魚よりも長く、鱧にも匹敵するぐらいの体長を誇ります。椀種としての評判は非常に高く、出汁が濁らないことでも知られます。バットの中にも収まりきらないぐらいの長さです。
笛魚(フエイオ)の異名を持つヤガラ
細長い体形のヤガラ。
一度目にしただけで印象付けられる魚ですよね。その外見から、大砲魚(たいほうぎょ)・笛吹き(ふえふき)・笛魚(ふえいお)などの名前があります。英名にもその姿態が反映されており、Smooth flutemouth と言います。
極上の白身です。
もちっとした食感で大変美味。ご宴会でお越し頂いたお客様にもお喜び頂きました。
アカヤガラの口にズームインしてみます(笑)
体長の4分の1は占めるであろうヤガラの口は管状になっています。捌きながら確認してみたのですが、大きく口が開くわけではなく、吻(ふん)の先っぽだけが少し開く程度でした。この口からまるでストローのように、獲物を吸い込んで捕獲するようです。
別名を笛魚(フエイオ)とも言います。
その姿形から納得のいくネーミングですよね。ちなみにヤガラという名前も、漢字に直せばその由来が想像できます。ヤガラは矢柄(やがら)と書きます。弓矢のように泳ぐ姿を一度拝見してみたいものです。
こんな感じで簡単に盛り付けてみました。
ちなみに、ヤガラの手前に盛っているのはマトウダイです。
あまり知られていませんが、マトウダイも大変美味しい魚です。馬頭鯛(まとうだい)と書きますが、体表にある弓矢の的のような模様から的鯛(まとうだい)とも呼ばれます。
こちらが同じ日に入荷したマトウダイ。
確かに的を得た命名ですよね(笑) 的とくれば矢となるわけですから、見事なマッチングです。結婚式や結納の日に、運良くヤガラとマトウダイが同時に入荷すれば、もうそれだけでハッピーな物語が始まりそうです。
箸墓古墳近くの巻向川周辺では、的場という苗字の表札をよく見掛けます。かつての織田藩陣屋があった地域でもあり、弓矢を射る練習場が存在していたのかもしれませんね。マトウダイの「的」で、つい思い出してしまいました。
見た目のインパクトは絶大です。
ヤガラには赤ヤガラと青ヤガラがいますが、食用になるのは赤ヤガラの方です。
分類学上は、トゲウオ目ヨウジウオ亜目ヤガラ科ヤガラ属に入ります。
ヤガラを捌く際は、お腹を真上に向けて肛門から頭へ向けて包丁を入れていきます。長細い内臓を取り出して血合いを洗い流し、俎板の上で三枚おろしにします。皮にも旨味があるため、お造りにした後はアラと共に出汁を採る材料にしてみるのもおすすめです。
ヤガラの尾っぽ。
尾びれの中央から、糸状に軟条が伸びています。これもまたヤガラの特徴の一つですね。
漁獲量が限られていて、滅多に入荷しないと言われるヤガラ。
ヤガラの刺身を食することができるのは、限られた運のいい方々のみということになるでしょうか。今回のご宴会でご利用頂いたお客様が、選ばれし方々であることに間違いはないでしょう。
ヤガラの全身写真を収めておきます。
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