春日大社国宝殿にて開催中の特別展『究極の鎧に出会う』。
国宝の4つの鎧が同時公開されており、数多くの参拝客で賑わっているようです。書斎にあった古都・奈良の守り神を訪ねて 歩いてめぐる春日大社 [ 春日大社 ](扶桑社)にも勇ましい鎧の写真が掲載されていたので、ここにご報告しておきます。
国宝の赤糸威大鎧(あかいとおどしおおよろい)。
一説によれば、源義経奉納とも伝わる見事な甲冑です。2016年10月にオープンしたばかりの国宝殿が煌びやかな鎧で飾られていました。
鎌倉時代後期の竹虎雀飾!天に向かって大きく広がる大鍬形
実に見栄えのする鎧です。
大きな鍬形(くわがた)と、絢爛豪華な錺(かざり)金具が印象に残ります。端午の節句にはピッタリの特別展示ですね。特に男の子がいらっしゃるご家庭におすすめしたいと思います。
「国宝鎧四領同時公開」と銘打たれています。
鎧の数え方は「領」なんですね。日常生活で鎧の数を数える機会は滅多にありません。一領、二領だったとは・・・知る由もありませんでした。
イベントの開催期間は前期と後期に分かれていますが、国宝の四つの鎧が同時公開されるのは前期限りとなります。6月18日までですので、このチャンスをお見逃しなく!
鎧の大袖には繁殖力の強い竹と、勇ましい虎が飾られています。
そして、百羽ほどの雀が装飾金具で全体にあしらわれています。雀と竹に草花を散りばめ、細部に至るまで施された意匠は実に見事です。竹に雀といえば、家紋の世界でも人気のデザインですよね。
竹に雀は関東管領・上杉家の紋とされますが、伊達家の定紋にもなっています。赤糸威大鎧にも見られることから、その縁起の良さがうかがえます。
虎の背景には、茜染めの深紅の威糸(おどしいと)に映える錺金具が施されています。ため息が出るほどの芸術作品ではないでしょうか。
オープン前の春日大社国宝殿。
昨年の10月に出向いた時の模様です。
参道にある馬止橋(まどめのはし)。
春日荷茶屋や萬葉植物園の手前に架かっています。
かつての馬場の終点に当たる場所ですね。
二の鳥居を抜け、表参道と剣先道を分けるポイントに建つ臥鹿型燈籠。
春日大社の七不思議の一つに数えられる縁結びスポットです。
オスとメスの鹿が伏せており、数ある石燈籠の中でも稀有な存在です。お参りの際は、是非目を凝らして見つけてみて下さい。
蓑亀を刻んだ石燈籠。
臥鹿型燈籠の一つ向こうに、縁起物の蓑亀を発見!藻の付着した亀は吉祥として知られます。
再び赤糸威大鎧の話題に戻って、こちらは胴正面の写真です。
鹿革に描かれているのは牡丹獅子ですね。
雀たちはそれぞれ違うポーズを取っています。
羽の一つ一つまで細かく表現され、その技術の高さがうかがえます。鎌倉時代後期の作と推定され、義経奉納の言い伝えとは合致しないのですが、それも義経の春日大社への篤い信仰心故と思われます。
Appreciate Master Armor
英語、ハングル語、中国語でそれぞれ案内が出ていますね。
「究極の鎧に出会う」を翻訳したものでしょう。この場合、感謝を意味する appreciate が使われるのですね。
四つの国宝鎧には、赤が基調の鎧と、黒が基調の鎧が二つずつあります。赤糸威大鎧は燃えるような赤色を基調としています。今回の特別展示において、国宝・赤糸威大鎧に出会うチャンスは6/18(日)の父の日までとなっています。