今年も大神神社のささゆりを見て来ました。
流麗な曲線美で魅了する花です。花びらの反り返りが美しく、葉から茎、そしてその先に付く六弁花に至るまで全体的なラインでまとまります。一定のリズムを刻むような秩序を感じさせます。
葉の形状が笹の葉に似ているところから、笹百合(ささゆり)と名付けられています。
細長いラインが美しい笹の葉は、見ているだけで涼しげですよね。鮎の塩焼きを盛り付けるお皿には、笹の葉を添えるのがお決まりです。踊り串を打って焼かれた鮎は、清流を泳ぐ鮎を連想させます。川の流れに身をくねらせる鮎、そしてそこに流れるようなラインの笹の葉を重ね合わせます。ササユリが夏に咲くのも、何かの偶然でしょうか。
姫百合や鹿の子百合も咲く花園
大神神社のささゆり園は祈祷殿前にあります。
勾配のある場所に見学路が設けられています。育てるのが非常に難しい品種故、ささゆりに触れたりするのはご法度ですのでご注意下さい。
大神神社拝殿。
重要文化財の建築物です。この拝殿の奥に、「古来一社の神秘なり」と伝わる三ツ鳥居が建っています。
手水舎から祈祷殿のある左方向へ進むと、石垣の手前にも咲いていました。
これまでは衣掛杉の近くにも咲いていましたが、今は見ることが出来ません。大神神社では新たに造営工事が行われ、近々能楽堂・直会殿が竣工します。衣掛杉の前には、造営事業に寄付をした人々の芳名が高々と掲げられています。
ささゆり園に到着。
入口から傾斜が付いており、下って行く格好で園内を楽しみます。
ささゆり園に咲く百合の種類が解説されていました。
ササユリのみならず、色々な種類の百合が開花するんですね。
「姫百合」 東北地方より南の本州・四国・九州の山地に自生する。
「鹿の子百合」 四国・九州の山地に自生する。
「鬼百合」 北海道から九州の平地に自生する。
「山百合」 近畿地方以北の山地に自生する。
4種類の百合が案内されていますが、唯一「鬼百合(オニユリ)」だけが平地に自生するようです。そういえば、桜井市内の等彌神社でもオニユリが咲いていました。とても艶やかな花だったので、今でも鮮明に覚えています。
おっ、これが姫百合のようです。
他の百合に比べれば、花びらが小振りです。小さくて赤い百合を見れば、ヒメユリで間違いはないでしょう。
これはまたゴージャスに咲いていますね。
茎の先っぽに横向きに花を咲かせます。
令和の時代になり、新元号の考案者と言われる中西進先生が注目されていますよね。かつて私は、中西先生の本で面白いことを学びました。人の顔のパーツである鼻と花は同じルーツを持っているそうです。鼻は顔の一番先っぽに付いています。それと同じく、花も一番先に付きます。昔は漢字が無かったので、音に言霊が宿っていたのでしょう。「はな」という音は、「端(はな)から」の ”端” にも通じています。物事の一番初め、まさしく「先っぽ」を意味していますよね。目は芽、耳は実という具合にそれぞれに相対しているようです。
今にも折れそうな細い茎の先に開花しています。
重くないのでしょうか?
思わず、余計なことを考えてしまいました。おそらく絶妙なバランスで立っているのでしょう、「トータルな線美」とも言うべき可憐な姿です。
この反り返り。
ほぼ90度に首を傾げています。
葉のラインも美しい!
流れるようなササユリ。
決して園内全体に花を咲かせるわけではありません。
毎度のことですが、「満開」と表現するには躊躇するような状態です。それでも足を向けるのは、この形に魅了されているのでしょう。
鎮女池の畔。
狭井神社の手前の池ですが、こちらはまだ蕾の状態でした。
つぼみもスマートで格好いいですよね。
2019年度の6月、今年もまた大神神社のささゆりを楽しませて頂きました。