三輪別所の平等寺は、曹洞宗のお寺として知られます。
山の辺の道沿いに建ち、境内の二重塔が目を引きます。聖徳太子を開基とし、中興の祖を慶円と伝えます。ご本尊は十一面観音菩薩で、境内で行われる坐禅体験も人気を呼んでいます。
三輪山平等寺の磐座。
不動堂の背後にひっそりと祀られていました。
三輪山には磐座信仰が根付いています。山頂の高宮神社からさらに上手には、奥津磐座群が佇みます。山麓の辺津磐座から中津磐座、奥津磐座と様々なイワクラを抱え込む三輪山。かつて三輪明神の神宮寺だった平等寺境内にも、立派な磐座がありました。
岩屋不動の奥に祀られるイワクラ
平等寺の山門をくぐると、ほぼ正面に朱色に映える二重塔が姿を現します。
その左手に、三輪不動尊を安置する不動堂があります。お目当ての磐座は不動堂の背後に祀られていました。平等寺の磐座にお参りするには、不動堂の左手から背後に回り込むのがベストです。右手から回り込むと、磐座の正面に出ることが出来ませんでした。
平等寺の不動堂。
弘法大師作と伝わる三輪不動尊を祀ります。
役行者と理源大師が不動尊の両脇を固めているようです。
このお堂の左手から奥へ回り込みます。右手へ回り込むと、岩屋不動の正面に出ます。まるで子供の秘密基地のような岩屋不動も見所の一つですが、磐座の正面に出ることは出来ません。
聖徳太子像。
三輪山平等寺の開基とされます。手前の花は鶏頭でしょうか。
磐座の背面。
不動堂の右手に回り込んで、まずは岩屋不動に手を合わせます。
そこから奥に見えている磐座へ足を延ばしたのですが、背面を拝む格好になりました。私の立っている背後には竹林が広がっています。このすぐ右手には塀があって、平等寺境内の隅っこであることが分かります。塀の向こうには道が通っており、上手の大行事社や春日社へ続いています。
平等寺二重塔と十六羅漢像。
三輪山の中に入らなくても、様々な種類の磐座を見ることができます。
花火大会のおんぱら祭で有名な、摂社綱越神社にも磐座があります。陰陽石のような九日社の磐座も見所です。「九日」をくっ付ければ「旭」になり、太陽信仰の名残を感じさせます。大神神社の手水舎下にある夫婦岩(聖天岩)も磐座の一つです。夫婦岩で思い出しますが、素戔嗚神社の回り石も夫婦岩と呼ばれていたようです。
さらには辰五郎大明神の手前を左へ行くと、山ノ神遺跡があります。
きよめの滝のお茶屋さん守人の話によれば、毎朝大神神社の宮司さんは山ノ神遺跡にお参りされているようです。磐座の前にはお供えがあり、生ものは供えないで下さいとの但し書がありました。三輪山の入口に位置していることもあり、おそらくイノシシがやって来るのでしょう。
久延彦神社から大美和の杜方面へ向かうと、御田植祭の行われる神饌田があります。その手前辺りに、奥垣内遺跡があります。そこにも磐座がひっそりと祀られており、辺津磐座の広がりを感じさせます。