京都などで問題になっている観光公害。
観光地の一極集中はどこの国にも見られる傾向ですが、今の京都は確かにオーバーヒートしています。オーバーツーリズムとも呼ばれる現象ですが、その反動なのか昨今では「アンダーツーリズム」が話題になっています。
狭井神社の薬井戸。
観光客のおこぼれを頂戴する。見方によってはそんな風にも見えますが、”観光地の裾野を広げる” という重要な意味があります。上流から流れる潤沢な水をそれぞれの田圃に引いていくように、枝葉末節にまで行き渡らせます。
胸ときめく穴場スポット探し!鍵を握る物語消費
京都は言わずと知れた一大観光都市です。
そこに住まう人々の日常生活に支障をきたすほどのインバウンドの勢い。PRの仕方にも問題があるのでしょうが、修正課題として重くのしかかります。コンテンツツーリズムなどのコアなファン層を開拓していくのも一つの方法ですが、既に持っている観光資源の再発掘が急がれます。
鷺栖神社の紫陽花。
橿原市のおふさ観音の近くに、とても雰囲気のいい神社があります。紫陽花の名所にしてもいいぐらい、鮮やかな花が咲いていました。
三輪山登山口のある狭井神社。
ご存知、全国有数のパワースポット・大神神社の聖地です。
アンダーツーリズムって、言葉が適切かどうかは分かりませんが可能性を秘めた分野だと思います。
オーバーツーリズムであふれかえった行き先として、新たな穴場探しが始まっています。テレビ番組でも「ポツンと一軒家」が注目を集めたりしています。誰も足を踏み入れたことのない僻地にストーリー性を感じる時代なのかもしれません。
自分だけの庭、自分だけの秘密基地。
浅草寺に清水寺、東大寺など誰もが知る観光地には魅力があります。でもさすがに、何度も訪れていると飽きてしまいます。次は違う所へ行ってみたい、観光ガイドブックには載っていない穴場を訪れてみたいと思うのは人の常でしょう。
明日香村の鬼の俎(まないた)。
歴史上の人物にフォーカスして、一本の串に刺してみるのも面白いでしょう。聖徳太子であれば、法隆寺や四天王寺は万人が知る観光スポットです。そこで聖徳太子をもう少し深く掘り下げてみます。そうすると、吉野の世尊寺に行き当たったりします。こんな具合に、一つのテーマを追っ掛ければ新たな発見が数珠つなぎに生まれるのではないでしょうか。
奈良県は南北に長い。
県庁所在地のある奈良市は奈良県の北端に位置します。”大和国中(やまとくんなか)” の奈良盆地でさえ、奈良県北部にすっぽりと入ってしまいます。「吉野の山奥」とよく言いますが、奈良県の中部から南部を占める「奥大和」は実に広大な面積を誇ります。ひょっとするとアンダーツーリズムの宝庫なのかもしれません。
東大寺南大門の前はいつもごった返しています。
まるで異国に居るかのような雰囲気の中、この観光客がもう少し南へ足を延ばしてくれないだろうか。そう思うのは私だけではないでしょう。平城京の奈良時代から時代を遡るように、飛鳥、古墳時代へと興味を向けてみる。
アンダーツーリズムの模索は始まったばかりです。