京こまの伝統!恵比須神社の初市大祭

初市大祭を前に、三輪坐恵比須神社の宮司さんから一本の電話が入りました(2013年2月)。

本えびす前、『宵の宮』の2月5日に、京都の職人さんをお泊め頂けないでしょうか?という内容でした。京都伝統の独楽を手作りされている職人さんがいらっしゃるということで、家族共々楽しみにお待ちしておりました。

京こま

恵比須神社の手水舎前に並べられた京こま。

二条城南の神泉苑前にお店を構える「雀休(じゃっきゅう)」の職人さんが、色とりどりの京こまを境内で披露しておられました。

引出物に紅白の独楽
京都神泉苑の斜め前にお店を構える雀休さんを訪ねて参りました。 京都の伝統工芸品として名高い京独楽(きょうこま)。 坂本龍馬ゆかりの武信稲荷神社にお参りした後、かねてからお世話になっている京こま職人さんの店舗へと足を運びます。 紅白の京こま。...

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独楽が縁起物である理由

ご宿泊頂いた当日は、夜遅くのご到着だったこともあり、あまり長くはお話出来ませんでした。

本えびすの日の夕刻にお邪魔して色々と京こまについてお伺い致しました。

京こま

実はこの京こま、木綿の糸で出来ているそうなんです。

これには驚きました。帰り際に頂いた小冊子には、” 京こまは着物布や色艶やかな綿紐を芯に巻き重ねて作る(巻胎の技法)京都の伝統工芸です。 ” と解説されています。

して紐と呼ばれる紐を、一巻き一巻き手で巻き上げて作られています。

独楽(こま)も仏教などと同じで、大陸から伝来したものなんだそうです。

独楽はなぜ独りで楽しむと書くのか疑問に思っていたのですが、独楽の「楽」は音楽の「楽」で、もとは独楽を回すと音が鳴ったんだそうです。日本史の教科書でも習った朝鮮半島の高麗(こうらい)という国。中国の唐から高麗(こま)を経由して伝わった独楽の歴史からも、その起源がうかがえます。

神社の鳥居脇に陣取る狛犬の歴史にも、朝鮮半島の高麗が関係しています。高麗(こま)犬と読めることからも明らかですよね。

鯛引き行列

2月5日に行われた鯛引き行列の鯛。

鯛が3尾、威勢良く飾られていました。

独楽は縁起物とされています。

その理由を三点、簡潔に記しておきます。

回す・・・頭の回転が良くなる、お金のまわりが良くなる、仕事や商いがうまく回り出す。
輪 ・・・独楽柄(輪の広がり)が円満や繁栄を表す、末広がりで縁起が良い。
貫く・・・中心を一本の芯が通る独楽を、一途に願いを叶えるお守りに例える。

経済再生が喫緊の課題になっている我が国日本ですが、何事においても「回り出す」というのは縁起が良いものです。

同心円状に輪が広がっていく様子は、池の中に石ころを投げ込んだ時の波紋に似ています。ポテトチップスでおなじみの湖池屋の社名由来にも通じるものがあります。

独楽がバランスを保って回り続けるためには、やはり中心に一本の芯が通っていなければなりません。独楽の「芯」は人の「心」にも通じると言われます。独楽の「芯棒」に、人の一生における「辛抱」を掛けています。なるほど、と思わせる独楽の謂われですね。

三輪坐恵比須神社

恵比須神社の境内。

京こまさんの独楽を回す方法は至って簡単です。

紐も何も要りません。独楽の芯の先っぽを指でつまんで捻れば、驚くほどの速さで回り始めます。誰でも簡単に回して遊ぶことのできる独楽は、仲睦まじい家族の団欒にもおすすめです。お孫さんのために購入された参拝客もたくさんおられたようです。

携帯ストラップに姿を変えた京こま商品も販売されていました。

女性の髪に挿すかんざしも独楽の形にデザインされ、思わず着飾ってみたくなる衝動に駆られます。

初市大祭で見学させて頂いた京こまですが、バレンタインからの一週間を通して、大和八木駅前の近鉄百貨店6階センターコートに於いて展示会が開かれる予定です。「手づくり作家十人十色展」と題する催しです。京こまの職人さんはその中で、手づくり体験教室も開かれます。お時間のあられる方は、是非一度足を運ばれてみてはいかがでしょうか。

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