知恩院に河童が居るのをご存知ですか?
御影堂の大扉に取り付けられた落とし金・・・確かに河童です!
面白い意匠ですが、なぜこの場所に河童が居るのか?
どうやら木造建築を守るため、防火の意味合いが込められているようです。
木造建築を守る河童!知恩院の七不思議
河童から水を連想しますよね。
頭の上には平たいお皿があって、いつも水で潤っている・・・そんなイメージがあります。河童に火の用心をしてもらおうという試み。
こちらは亀の落とし金具。
河童と同じく、亀も水を連想させる生き物です。
高台寺の開山堂龍図などにも、お寺を火災から守る願いが込められています。龍は水を自在に操る神様ですからね。
知恩院御影堂。
御影堂の外縁と本殿を仕切る大扉に、河童や亀の落とし金が施されています。
御影堂の連子窓と釘隠し。
寺社建築に見られる意匠には、歴史に裏打ちされた美術的センスが感じられます。
知恩院の落とし金具ですが、河童や亀の他にも蝉(幼虫)が見られるようです。蝉はダイレクトに水とは関係がなさそうですが、蝉から蝉時雨、雨、水と連想されるようです。
さらに蝉は人が近づくと、すぐに飛んで逃げて行きますよね。
蝉のそういった習性から、”忍び除け”としての願いも込められています。
御影堂を囲む廊下の片隅に象が居ました(2010年)。
そう言えば、お寺には象の意匠も数多く見受けられますよね。
知恩院御影堂は3代将軍徳川家光によって再建されていますが、建物の細部に施された心憎いデザインに見とれてしまいます。
京都には和のイメージが付きまといます。
着物、舞妓、仏教、川床、和菓子・・・その中でも寺社建築の美しさは特に抜きん出ているのではないでしょうか。
亀の落とし金。
グイッと首をもたげて、火の気はないか気配を感じているようなデザインです。
知恩院の七不思議の一つに「鴬張りの廊下」があります。廊下を歩くと、キュッキュッと音がして曲者の侵入を察知します。いわゆる忍び返しですね。
血天井で知られる養源院にも同じような廊下があったのを思い出します。
トリビア的なお話ですが、知恩院の鴬張りの廊下は、法(ホー)聞けよ(ケキョ)にも通じるようです(笑)