西国三十三ヵ所観音霊場の第七番札所。
巨大な塑像・如意輪観音を本尊とする岡寺ですが、その奥の院に神秘的な石窟があります。自然の造形を残した石窟堂に祀られるのは、弥勒菩薩坐像です。
岡寺奥之院の石窟堂。
「弥勒の窟」と呼ばれ、石窟の奥には弥勒菩薩坐像を祀ります。
入口左脇に弥勒菩薩、右脇には苔生した地蔵菩薩を安置。初夏に訪れたこともあり、”弥勒の窟”の手前にはシャクナゲが咲いていました。
二重円光背の弥勒菩薩!龍蓋寺の穴場
複数回お参りしている岡寺ですが、奥の院まで足を運んだのはこの時が初めてでした。
意外とそういうものですね。
お目当ての牡丹やご本尊を拝んだら、もうそれで終わりというパターンが多いものです。たまには時間に余裕を持って、ゆっくりと境内を巡ってみましょう。
岡寺に開花する牡丹。
毎年初夏には”牡丹の名所”でクローズアップされる長谷寺。その陰に隠れるように、岡寺にもたくさんの牡丹の花が咲いていました。
岡寺の三重宝塔。
遥か下界、橘寺の近くからも見えている塔ですね。
今回私は三重塔から奥の院を目指しました。三重宝塔から”もみじのトンネル”を抜け、歴代墓所を経て”しゃくなげの道”へと入ります。
途中で見降ろす岡寺本堂。
五色幕の掛かった立派なお堂の中には、奈良時代の塑像・如意輪観音坐像(重要文化財)が祀られています。
道中のシャガも綺麗ですね。
この細い道を辿った先に、奥の院の石窟があります。
奥の院に鎮座する稲荷社。
美しい蟇股の覆屋に「如意稲荷社」を祀ります。手前角の道案内が視界に入ってきます。
奥の院石窟を案内しています。
どうやらこの先を上がって行くようです。
石窟堂の入口。
入口付近は覆い屋根に守られ、釣灯籠が二つ下がっていました。横に被せた枠石は唐破風を模しているようです。
見えました!
真正面一番奥にいらっしゃいます。
ここまではっきりとその存在が分かると、御前まで進み出ずにはいられません。
弥勒の窟の弥勒菩薩坐像。
蓮華座に坐し、両手でしっかり宝塔を持ちます。
二重円光背を背負い、静かな表情を浮かべています。未来に降臨する弥勒菩薩様が、ダイナミックな岩肌を背に参拝客を出迎えます。
剥き出しの岩肌。
ゴツゴツした感じが野性味を感じさせます。
振り返ると、次の参拝客が!
四角く切り抜かれた入口が、まるで額縁のようです。初夏の緑も相まって、なかなか絵になる一枚になりました。
入口右手前の地蔵菩薩坐像。
見事に首から下を苔が覆い尽くします。ここまで綺麗に”苔の衣”が出来上がると、顔に苔が生えないのはなぜ?と気になりますね。
こちらは左手前の弥勒菩薩坐像。
姿形は石窟の中の弥勒とよく似ています。相似形でしょうか。
弥勒の窟。
自然そのものを崇拝する古代信仰がありますが、こういう場所もいいですね。
最終的に人の手が加わっているとはいえ、どこか素朴で荒削りな魅力があります。岡寺を訪れたら、是非奥の院まで足を運んでみましょう。