茅原から箸中、巻野内へ至るエリアには小規模古墳が密集しています。
茅原大墓古墳のすぐ北にツヅロ塚古墳、ツクロ塚古墳があります。そこからさらに北には、分かりづらい平塚古墳もあります。周辺エリアには毘沙門塚古墳、茅原狐塚古墳、藤が森古墳、石神塚古墳、馬塚古墳などが散在し、一大古墳群を形成しています。
手前からサシコマ古墳、小川塚西古墳、小川塚東古墳が並び、東方に三輪山を望みます。
長閑な田園地帯にポコポコと古墳の隆起があり、独特な風景を生み出していました。
神山を借景にする古墳群
三輪山や巻向山、龍王山を仰ぐ場所。
奈良盆地の東に連なる山々を背景に、様々な表情を見せる古墳群。この場所ならではの楽しみ方が此処にはあります。
サシコマ古墳。
現状では直径13mの円墳とされます。
サシコマ塚と呼ばれることもありますが、サシコマ古墳の名前の由来が気になりますね。ひょっとすると、”駒を指す”からきているのでしょうか。”指し駒”だとしたら、将棋ファンにはたまりません。見れば見るほど、将棋の駒にも見えてきます。
緑に包まれた三古墳を視界に収めます。
左からサシコマ、小川塚西、小川塚東と続きます。
背後に聳える山並みの右の方に、尖がった頂の山が見えます。アニメちびまる子ちゃんに登場する永沢君の頭とダブりますね(^.^)
あの頂は巻向山の弓月ヶ嶽で、山頂近くの台地を「夏至の大平(げしのおおだいら)」と呼びます。箸墓古墳を起点にすると、夏至の日の”日の出ポイント”にもなっています。
小川塚西古墳と三輪山を重ねます。
この角度から見ると、小川塚西古墳も右肩が少し落ちているのが分かります。
色とりどりの初夏の花が咲いていました。
こうして見ると、サシコマ古墳が小気味いいアクセントを全体に与えているようです。
のんびりとした大和の風景です。
橿原市の新沢千塚古墳なども、ポコポコとした円墳の風景が人気です。公園整備された場所故、どこか人工的な空気を感じるのですが、ここ箸中の風景は違いますね。田畑や山々に囲まれ、民家や生活道路も近くに迫ります。
このままの風景を維持していってほしいと思います。
三輪山を借景にするのはおこがましいのですが、見事に調和しています。
人の暮らしと古墳、そして背後に見える神々の聖地。
弓月ヶ嶽のトンガリもいい味わいです。古代からほぼ変わらないであろう風景は、自然と私たちのDNAにも馴染みます。