京都府木津川市山城町に佇む普門山蟹満寺。
蟹満寺(かにまんじ)のご本尊は国宝・釈迦如来坐像です。
奈良から国道24号線を北上し、蟹満寺の道案内に従って右折します。川沿いに車を走らせながら、入り組んだ場所へと入って行きます。しばらくすると、目的地の蟹満寺の駐車場が見えて参りました。
蟹満寺のご本尊・釈迦如来坐像の左手に見られる与願印。
蟹満寺の本堂内で釈迦如来坐像を拝観し、ご本尊の手前に置いてあったフォトブックを500円で購入致しました。上記の写真は、そのフォトブックからの引用です。指の間には水掻きのような曼網相(まんもうそう)が見られます。
人々の願いを叶え、施しを与える仏像の印相として知られる与願印。悟りを開いた如来像に見られる印相で、右手の施無畏印と共に「如来の通印」とも言われる印相です。
特異な印を結ぶ釈迦如来坐像
蟹満寺のご本尊は、一般の釈迦如来像とはちょっと違った印を結んでいらっしゃいます。
右手の施無畏印は親指と人差し指の指先を付け、掌を外へ向けます。左手の与願印は掌を開きながらも、軽く指が曲がっています。
普門山蟹満寺山門と釈迦如来坐像。
流れるような衣文がとても綺麗ですね。
奈良国立博物館に常設展示されている施無畏印。
この施無畏印こそが、蟹満寺ご本尊のそれに当たります。確かに人差し指と親指の先がくっ付いていますね。親指と人差し指、人差し指と中指の間に曼網相が確認できます。
仏像の印相に関しては、奈良国立博物館で催された特別展でもご案内致しましたが、その当時はまだ蟹満寺の国宝仏像を実際に拝んだことがなかったので、そのまま素通りしていたようです。
蟹満寺釈迦如来坐像の施無畏与願印。
そういえば、東大寺大仏さんの与願印も中指を持ち上げて全体的に指が上を向いています。どこか蟹満寺のご本尊とも似ていますよね。
蟹の恩返しが言い伝えられる蟹満寺。
境内の至る所に蟹の御紋が見られます。
指先のちょっとした動きだけで、随分と印象が変わってくるものです。
指先にまで慈悲の心が行き渡り、一人残さず救いの手を差し伸べる・・・そんな仏様の心が表れているような気がしてなりません。