10月15日発売号において、当館大正楼の記事を取り上げて頂くことになりました。
それに先立ち、ホテルマネジメントや大学非常勤講師もなさっている西田淑子さんにお越し頂きました。様々なことをご教示頂き、お会いすべくしてお会いしたのかなと思っています。
コミュニケーション研修にも力を入れておられ、その屋号を「SUCCESS INSIDE COMMUNICATION」と言います。人間は本来、自分の中に持っている可能性を大切にし、日々を暮らしていくことことが肝要です。でも、分かっていながら実践できていないことが多いものですよね。
客室や館内が蘇生!新たに吹き込まれる瑞々しい息吹
老舗の取材も多数こなしておられる西田淑子さん。
老舗の語源は「仕似せる(しにせる)」に由来していると聞いたことがあります。先代の仕方を ”真似てする” ことを意味しているようですが、当の私はさして意識することもなく、この仕事に取り組んで参りました。最初は親の手仕事を見よう見まねで真似てみることはありましたが、あくまでも最初の段階です。徐々に自分流になっていくものなのかもしれません。
客室縁側の手摺り。
今回のライターである西田さんには、客室や館内をご見学頂きました。
今まで私の気付かなかったことをたくさん教えて頂き、この場を借りて御礼申し上げます。
灯台下暗しとはこのことですね。大正時代創業の館内設備をはじめ、客室天井の意匠、床の間のデザイン、襖絵のストーリーに至るまで、実に様々な気付きがありました。急に館内が豊かになった気分です。今あるものに、これだけの価値があったとは思ってもみませんでした。
玄関先の石畳。
人は皆、自身の中に小宇宙を抱えて生きていると言います。
オンリーワンの宝物を神様から頂いて、この世に生きているのです。それを活かさない手はありません。
私はサラリーマン時代に、東京で異業種交流会を主宰していました。業種の垣根を超えて、様々な人々が集う場を月に一回催します。そうすると、新たな仕事が生まれ、意図していなかった契約も成立します。あるいはプライベートで結婚に発展する出会いも生まれました。人が人に出会うということは化学反応のようなものです。足し算ではなく、掛け算で膨らんでいく世界を目の当たりにし、人の可能性の凄さを実感したものです。
それと同じようなことが、古い建物にもあるのですね。
既にそこにあるものですが、創業者や当時の職人さんの想いが込められています。そのことを感じ取って、後世に伝えていくことも大切な仕事だと思います。
応接間でも色々な話に花が咲きました。
大正時代からほぼそのままに残る建物は珍しい、改めて気付かされた今回の取材でした。
お客様の目線の位置は大体決まっています。
そこを敢えて外し、客室のあちこちを見回してみます。するとそこには、図面竹のシャレた意匠、職人さんの心意気を感じさせる舟底天井など、次々と新たな発見がありました。
西田さんの方から、記事作成に当り創業者の写真を拝見したいとのご依頼がありました。
料理旅館大正楼の創業者。
私の曾祖父に当たる人物です。
創業後間もなくお亡くなりになられているのですが、この機会に父親からもご先祖様の話を聞くことが出来ました。ちょうどお盆シーズンということもあり、時の巡り合わせを感じた次第です。
既にあるものに磨きを掛ける。
とても大切なことだと思います。
地方創生の動きも相まってか、観光地活性化に向けたDMOやDMCが話題に上がることも多くなりました。
Destination Management でも「今あるもの」にスポットライトを当てるべきです。新たに造る ”箱モノ” に意味がないことは歴史が証明しています。成功事例を真似ても上手くいかないのかもしれません。違いを際立たせることが重要です。そのためには自身をよく知らなければならない。他にはない地域の魅力、独自性を掘り起こしてこそ、次なるステージへ進めるのでしょう。
大正楼の看板と共に。
埋もれそうになった大正楼の魅力を、再び蘇らせて頂きました。
西田さんがおっしゃるように、私たちは鏡が無い限り、自分で自分の顔を見ることが出来ません。知っているようで意外と自分の事には疎いものです。やはり大切なことは、人が運んでくれるものなのかもしれません。この度は誠にありがとうございました。
【西田淑子さん関連情報】