飛鳥寺東門前に建つ標石。
「飛鳥大仏」と刻まれたその標石をご存知の方も多いでしょう。日本最古の本格的仏教寺院として知られる飛鳥寺ですが、境内は意外とこぢんまりしています。標石は入口付近にあり、観光客が必ず目にする場所に佇みます。
飛鳥大仏標石。
刻まれた文字は江戸時代のものですが、標石を支える礎石は飛鳥寺創建時の礎石だと言います。そう聞くと、途端に貴重でレアな感じがしてきますよね。標石の傍らには、春に花咲く馬酔木が植えられていました。
参拝の道しるべとなった標石
明日香村界隈を歩いていると、歴史を感じさせる標石によく出会います。
いつの時代に刻まれた標石なのだろうか、この場所にずっと立っているのか、それともどこからか移されてきたのだろうか?色々なことを考えさせる標石を見ていると、飛鳥の歴史の深さを感じます。
飛鳥大仏標石の案内板。
江戸時代の寛政4年(1792)飛鳥寺参拝の道しるべとして彫刻された優秀な文字で台石は飛鳥寺創建時(588~1,400年前)の礎石を用いている。
西門の外に咲いていた夏の花。
この辺りには畑が広がっていて、四季折々の花が楽しめます。一番左側の瓦屋根が、飛鳥大仏を安置する本堂ですね。日本最古の仏像・釈迦如来坐像が収められています。
境内南の真神原に出て、遥か西方を望みます。
鬱蒼と生い茂る杜の頂上付近に、少し空間が見えますね。ちょうどあの辺りが甘樫丘展望台です。
甘樫丘の麓から展望台まで、万葉植物を観察しながら歩くものいいでしょう。視界の開けた甘樫丘展望台からは、大和三山の畝傍山を望むこともできます。飛鳥寺の伽藍を見下ろし、遥か飛鳥時代に想いを馳せます。
再び飛鳥大仏標石前に戻って来ました。
この礎石が創建時のものだったとは、今まで省みることもありませんでした。もう何度も訪れている飛鳥寺ですが、毎回新たな発見があるのもこのお寺の魅力です。
数年前、門前のお店で飛鳥の蘇(古代チーズ)を購入したことがあります。最初は西井牧場さんに足を運んだのですが、生憎在庫切れで、急きょ飛鳥寺門前のお店に向かったことを思い出します。
小さなお寺ですが、魅力の詰まったお寺です。
大化の改新のきっかけにもなった ”中大兄皇子と中臣鎌足の出会い” を演出したのも飛鳥寺です。飛鳥寺は多武峰縁起絵巻に語り継がれる歴史的スポットでもあります。
全国に数あるお寺の中でも、特筆すべきお寺であることに異論の余地はありませんね。