石上神宮の神様の使い。
境内に放し飼いにされているニワトリは神様の使いとされます。
大神神社が発行している「かぎろい9月号」に、神道の言葉として「眷属(けんぞく)」が紹介されていました。春日大社の鹿や伏見稲荷大社の狐などの、信仰の対象になっている動物が記されています。
山の辺の道の起点となる石上神宮。
境内の鏡池の近くに休憩小屋があり、その周囲を神様の使いであるニワトリが行き交います。
仏典の眷愛隷属
石上神宮はその昔、朝廷の”武”を司った物部氏のオーラが感じられる社です。
眷属とは何を意味する言葉なのでしょうか?
神様と人間の橋渡し的役割を担っているのでしょうか。目には見えない神様を目の前のニワトリに投影します。
眷属(けんぞく)という言葉は、仏典に見られる「眷愛隷属(けんあいれいぞく)」の省略形なんだそうです。親族や一族という意味を持ち合わせます。
大神神社の蛇や奈良の鹿にも同じような雰囲気が感じられますが、どうやら三輪の神様の「眷属」は蛇ではないようです。あくまでも、かりそめに蛇に姿を変えているに過ぎず、蛇そのものが三輪の神ではないとされます。果たして石上神宮の鶏は「眷属」なのでしょうか?
石上神宮に鶏が棲み付くようになったのは、ごく最近のことです。
その歴史の浅さから鑑みてみると、眷属とまでは言えないのではないかなと思います。少なくとも古式ゆかしい石上神宮の由来には、境内を闊歩する鶏は登場しないのです。春日大社の鹿、伏見稲荷大社の狐とは少し勝手が違うように思われます。
とは言っても、皆に愛されていることに変わりはありません。
楼門から国宝に指定されている拝殿を望みます。
数多くの天皇がお参りしてきた、歴史ある石上神宮・・・同じく山の辺の道の途上にある大神神社が女性的なら、ここ石上神宮の境内には男性的な霊気が漲ります。
神様の使いは木の上にも登るんですね。
どうやって登ったのでしょうか?
飛ばないイメージのあるニワトリですが、やはり羽ばたいて樹上に休んでいるのでしょうか?
石上神宮といえば、この七支刀が有名です。
かつて武器庫であった石上神宮をしのばせます。
山の辺の道の三大拠点を挙げるとすれば、石上神宮、長岳寺、大神神社になるものと思われます。石上神宮から長岳寺までは徒歩90分、長岳寺から大神神社まで徒歩105分ぐらいの道程となります。
健康を意識するヘルスツーリズムが叫ばれる昨今、山の辺の道ハイキングを楽しんでみませんか?