病気平癒の羅漢さんを祀る四天王寺萬燈院(紙衣堂)。
読み方は「紙衣堂(かみこどう)」。
紙衣堂の羅漢は五百羅漢の一人で、難病に苦しみながら紙の衣を着て修行に勤しんだと伝わります。病に苦しむ人々を救うために誓願を立てた偉いお方です。
四天王寺の紙衣堂。
背後に見えているのは、天王寺のシンボル・あべのハルカスですね。
木槌たたきのご利益と萬燈院衣替え
紙衣(かみこ)とは文字通り紙製の衣服のことです。
貧しい服の象徴でもあり、厚紙に柿渋を引いて仕立てます。柿渋を乾かしたものを揉んで柔らかくし、さらに露に晒して渋の臭味を取ります。元は律宗の僧が用いていたようですが、一般にも普及し、元禄の頃には遊里などでも流行しました。
紙衣堂前にあった「木槌たたき」。
木槌の横に、その使い方が案内されていました。
由緒、由来は不詳なれども、霊験あらたかなり。
木槌で臼を三遍叩き、さらにそれが肩、腰、胸など病のあるところ三遍叩くことを二回繰り返せば、病気の人は治り、丈夫な人はますます健康になる。
紙衣堂の参拝には欠かせない作法のようです。
毎年10月10日には、羅漢さんの紙の衣替え法要が行われます。本来であれば法要日に訪れ、紙の衣を病気を患う箇所に当て、僧侶に祈祷して頂くのがベストでしょう。
紙衣を着て修行に励んだ羅漢さん。
その羅漢さんにあやかれる、これ以上に無いイベントだと思います。
紙衣堂の入口。
お堂外陣には、賓頭盧尊者も祀られていました。
紙衣四十八枚という言葉があります。
紙衣を構成する紙の枚数を表しており、胴の前後に20枚、左右の袖に4枚、裏に24枚の計48枚から成ります。粗末な服装故、ただ適当に作られているのかと思いきや、経験に裏打ちされた雛型のようなものもあったのでしょう。
四天王寺五重塔。
聖武天皇の勅願で創建されたという紙衣堂。
日本広しと言えども、紙衣仏を祀るのは四天王寺萬燈院のみとされます。大変貴重な紙衣の羅漢さん、10月10日の萬燈院衣替えは要チェックですね。