大輪緑萼(タイリンリョクガク)という梅の品種があります。
枝や萼の部分が緑色をした梅で、菅原天満宮の盆梅展でも一際異彩を放っていました。それにしても、梅の種類の多さを改めて知る一日となりました。既に盆梅展は終了していますが、大輪緑萼にスポットを当ててご報告致します。
菅原天満宮の盆梅展で開花する大輪緑萼。
「たいりんりょくがく」。少々読みづらい名前ではありますが、実に鮮やかなグリーンの発色です。地味な色目の多い萼にあって、一際目立つ色合いですね。
野梅系青軸性の大輪梅
大輪緑萼は八重咲きの大輪で、花の色は白色です。
花だけを見ればさして珍しくもないのですが、その裏側を覗き込んでみて初めて惹き付けられる梅です。その鮮烈な黄緑色が脳裏に焼き付きます。
大輪緑萼の萼(がく)。
焼けたような深い緑色をしているのが萼。そんなふうに思っていましたが、いい意味で先入観を裏切ってくれます。よく観察してみると、枝も深い緑色をしていますね。
菅原天満宮の盆梅展では、約150鉢もの梅花が展示されていました。展示場所は屋外と屋内に分かれており、屋内展示場には梅の香りが充満していました。
菅原天満宮の築地塀の軒丸瓦。
菅原道真ゆかりの梅の御紋がデザインされています。
門をくぐって境内に入り、拝殿右手前の拝観受付で盆梅展の観梅料500円を納めます。中学生以下は無料のようです。学問の神様だけあって、さすがに子供には寛容なようですね。
大輪緑萼の木札。
盆梅展会場ではそれぞれの梅に名前が振られており、品種を知る手助けになっています。展示されていたのは大輪緑萼ですが、大輪があれば小輪もあるようです。
大輪緑萼とは言ってもそんなに大きくはありません。そこらあたりは、梅なればこそなのでしょうか。小輪緑萼はもっと小さい花弁なわけですから、かなり極小な花が想像されます。
中国原産の梅はバラ科サクラ属の落葉小高木。
大別すれば薔薇や桜にも通じている花なんですね。
境内には大和文華館のリーフレットも置かれていました。『梅と桜の美術館』と題し、野趣に富んだ美しい自然園・文華苑が案内されています。梅と桜は日本人にとって、押しも押されもせぬ春の贈り物です。桜ほど人気はありませんが、春を告げる一番バッターのような存在の梅。古代人が最も愛した花は梅だと言います。
時代は下って、様々な品種が観賞できるようになりました。古代の人々にも、是非お知らせして差し上げたいですね。
菅原天満宮の牛像。
注連縄を首に巻き、どっかと腰を下ろします。
天満宮のシンボルである牛の周りにも、梅の花が見られました。
盆梅展を訪れたなら、一つでもいいから花の名前を覚えて帰るのもオススメです。”常な里梅”という菅原天満宮ならではの梅もありましたね。楽しみ方は色々あっていいと思います。写真を撮りまくるのもいいでしょうし、香りを堪能するのも乙なものです。
季節が巡れば、毎年必ず届けられる春の贈り物。期待を裏切らない梅の花に感謝しつつ、菅原の里盆梅展を後にします。