菅原天満宮の東側に天神堀遺跡があります。
菅原道真公産湯の池と伝わる場所です。歴史に語り継がれる偉人ともなれば、その生誕にまつわるエピソードには事欠きません。思い起こすこと数年前、京都烏丸通沿いにある道真生誕の地と伝わる菅原院天満宮神社に詣でました。そこの境内には、道真公産湯の井戸がありました。
奈良市菅原の地に佇む天神堀遺跡。
此処は道真公の母が京都から里帰りし、道真を出産した菅原院の跡地とされます。
産湯の井戸が京都なら、産湯の池は奈良にあるのですね。ちょっぴりややこしい・・・京都の菅原院天満宮神社も奈良の菅原天満宮(菅原神社)も、どちらも「菅原道真生誕の地」を宣言しています。果たしてどちらで生を享けたのか・・・今となっては知る由もありませんね。
菅原氏の邸宅『菅原院』に残された遺跡
天神堀遺跡から100mほど西側に菅原天満宮があります。
さらにそこから徒歩2分ほどで喜光寺にアクセスします。喜光寺はかつて「菅原寺」と称されていたようですが、お互いに目と鼻の先に位置しています。
天神堀遺跡手前の道標。
喜光寺と菅原神社が案内されていますね。反対方向を辿れば、近鉄西大寺駅に辿り着きます。意外と知られていませんが、西大寺駅から歩いて行くことも可能です。駅の線路北側には秋篠寺などもあり、古墳のみならず神社仏閣も数多く集まるエリアです。
菅原天満宮遺跡天神堀の案内板。
梅の御神紋の下に解説文が掲示されていました。
この池は菅原院の一部にして、相伝菅神の遺跡であり、古くから菅原道真公の産湯の池と伝えられております。
島の中にある碑には、星霜年を経て古くなり、神の盛なるを託し、その祖先を敬うことにより徳を戴き、荒れた岸に石垣を積もうとしたところ、その趣旨は四方に伝わり瞬く間に完成した。神徳は、月日が下界を照らす様なもので敬わない人はいないだろう。神をたたえ、この碑を立て記念とする。
慶応3年11月
平成8年6月改修
この辺りは古代、菅草(すがくさ)の生える地域として知られていました。
別名を伏見(伏水)というぐらいですから、湿地帯であったことがうかがえます。
天神堀遺跡を一瞥すると、弁天さんが祀られているのかなと思いますよね。池があってその真ん中に島が浮かび、赤い太鼓橋が渡されている・・・市杵嶋神社でよく目にする光景です。
菅原の里盆梅展。
菅原天満宮では、恒例の盆梅展が開催されていました。
近鉄西大寺駅から徒歩で菅原天満宮へ向かいます。
その途中に、幾つもの道案内が付けられていました。ここは公園前ですね。
梅の古木が枝をくねらせながら、春を謳歌しています。
ボランティアガイドの方が常駐なさっていて、梅の花の案内をして下さいます。様々な品種が展示されており、ガイド付きで観賞できるのは有難いですね。
そういえば、東大寺鎮守の手向山八幡宮に菅原道真の腰掛石があったことを思い出します。
至る所にその伝承を残す道真公の人気ぶりをうかがわせます。