ギリシャ神話に由来するカドメイアの勝利。
負けに等しい代償を払い、なんとか得た勝利のことを意味します。
東京ディズニーランドの風景。
全国各地のテーマパークや遊興施設、飲食店が自粛を余儀なくされています。
「コロナに負けるな」を合言葉に、逆境を乗り越えるためのアイディアが飛び交います。希望を失うことなく立ち向かう姿は素晴らしく、称賛に値することだと思います。その一方で、もう少し引いた立ち位置で俯瞰する必要性も感じます。
負けて学び、そこを起点に始まる希望スケジューリング
窮鼠猫を嚙むと言います。
追い詰められたネズミは、強い猫に立ち向かってしまうのです。
追い詰める猫の方にも余裕が必要です。戦国時代の武士たちはそのことをよく知っていました。敢えて逃げ場を用意し、逃がしてあげるという戦法。長く生き延びていくためには重要な一手となりました。
三歩進んで二歩下がる。
人生とはそんなものなのかもしれません。
新型コロナウィルスの感染が拡大する中、より大きな視野に立つ必要があるでしょう。経済への打撃はコロナショックという言葉で新聞紙面を賑わせています。視野が狭まりがちな今、大所高所からの判断が求められます。
コロナに負けるなの気概を持ちながらも、どこかで冷静になる必要があります。
完膚なきまでに打ち負かすのではなく、心のどこかに余裕を持ちたいものです。
元よりウィルスは絶滅しません。どんなに頑張ってもこの世から無くなることはないのです。そう考えれば、少しは気が楽になるような気がします。人類とウィルスとの付き合いは長いのです。
思えば崇神天皇の御代、国が乱れてオオモノヌシを三輪山に祀らせた話が伝わります。国難の原因は疫病だったようです。
東京両国の野見宿禰神社。
歴代の横綱が名を連ねる神社ですが、横綱という地位が生まれる以前、相撲の頂点に君臨したのは大関でした。
上から押さえつけられ、下からは突き上げられる”大関”という番付。
2場所連続で負け越すと、大関陥落が待ち構えています。非常に辛く厳しい地位ですね。二桁の10勝以上が大関の目安と言われますが、9勝6敗やギリギリ勝ち越しの8勝7敗で場所を終える大関も多いですよね。
9勝6敗の大関は「クンロク大関」と揶揄されます。
でも、このクンロク大関こそが、苦境の真っ只中にいる私たちと響き合います。
貴乃花や稀勢の里は大きな代償を払って優勝しました。
怪我を押しての出場は、その後の土俵人生を決定付けました。二人の最後の幕の内最高優勝はカドメイアの勝利だったのかもしれません。目の前の勝利に固執するあまり、力士寿命を縮めてしまったような気がします。とても残念です。両横綱のファンだっただけに、悔やまれてなりません。
そこそこに勝ち続ける。
長い地球の歴史から見れば、私たち一人一人の人生は実に短いのです。瞬きをする瞬間ぐらいなものでしょう。しっかりと負けておくことも大切で、そこから始まる何かがあるはずです。
中途半端が一番良くありません。ここはひとつ、きっちりと負けて次なるステージを目指しましょう。先の見えない中ではありますが、計画立案の前にまずは”外出自粛”を徹底したいと思います。