赤味を帯びたジューシーな鶏肉。
昔のかしわの味が口の中に広がります。奈良特産品の大和肉鶏(やまとにくどり)は噛めば噛むほど味わい深い、かしわの味を見事に再現した地鶏肉です。
大和肉鶏のもも肉。
その見た目からも、明らかにブロイラーとの違いが分かります。お値段も普通の鶏肉の約3倍ですが、手間暇かけて作られた鶏肉だけにその旨さが際立ちます。ブロイラーは60日ほどで出荷されるのに対し、大和肉鶏は120~140日間もかけて大切に育てられます。独特の甘味を持った鶏肉をどうぞご賞味あれ!
かしわの語源
大和肉鶏が本格的に流通し始めたのは、昭和57年(1982)のことです。
既に30年以上も市場に流通しているわけですが、徐々にその知名度も上がってきているものと思われます。大和肉鶏を表現する際に、最も分かりやすい言葉が「かしわ」ではないでしょうか。
そもそも、黄鶏(かしわ)とは何を意味する言葉なのでしょうか。
「かしわ」は隠語だったのかもしれない。
表立って鶏肉と表現することが出来なかったため、その代わりとなる名前が必要だった。そんな一説もあるようです。
天武天皇3年(675)に出された肉食禁止令。
仏教の国教化により、以後の肉食が禁止されたのです。肉食禁止とは言っても、やはり肉は美味しい。いつの時代も肉は旨かったのでしょう、肉食禁止令に隠れて庶民は肉を食べ続けたと云います。
大正楼の宴会場。
古代に盗聴器などあるわけではありませんが、人々は肉を植物の名前に置き換えて表現していたようです。
猪肉をぼたん、馬肉をさくら、鹿肉をもみじ、そして鶏肉をかしわと言い表しました。「かしわ」とは、つまり柏のことを意味していたというのです。鶏の羽の色が紅葉した柏の葉を連想させたのでしょうか。
滋味あふれる大和肉鶏。
柏の葉はかなり大きいことから、昔は食器代わりにもなっていました。宮中の台所を預かる人のことを膳夫(かしわで)と言ったりしますが、柏と食は昔から緊密に結び付いていたようです。今も奈良県橿原市には膳夫という地名が残されており、ちょうど昔の藤原京内に位置しています。
かしわの羽毛は茶褐色をしています。
「かしわ」は主に西日本での呼称のようですが、秋田の比内鶏などは「かしわ」で通っているようです。美味しい鶏肉は皆、「かしわ」ということなのかもしれませんね。
大和肉鶏にはタンパク質、ビタミンA、ビタミンB群なども含まれており、栄養豊富な食材としても注目を集めています。大和かしわの味が見事に復活し、私どもの旅館でも宿泊プランの中に取り入れてお出ししております。
かしわの語源に想いを馳せれば、堂々と食せる現代の恩恵を感じずにはいられませんね。
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