フォレストパーク神野山に、鄙びた地蔵石仏が祀られていました。
覆い屋に守られたお地蔵さんで、鎌倉時代の摩崖仏のようです。お伊勢参りの道中安全祈願や、眼病にご利益のある有難い地蔵菩薩と伝わります。
山添村大塩に坐す塩瀬地蔵。
像高160cmで、なかなかのボリュームです。古くから人通りの多い場所に祀られていたようです。現在は県道272号(神野山公園線)沿いに当たり、鍋倉渓から森林科学館へ至る道沿いでした。
眼病にご利益のある塩瀬地蔵!山添村北野から箕輪に通ずる街道
塩瀬地蔵は偶然見つけました。
ちょうどお腹が空いたので、鍋倉渓の駐車場から食堂『映山紅(えいざんこう)』を目指します。塩瀬地蔵の手前左には、雨乞い祈願の「大師の硯石」がありました。山添村には色んな磐座があって興味深いですね。
県道272号沿いの塩瀬地蔵。
鍋倉渓と森林科学館・映山紅の中間点ぐらいにありました。塩瀬地蔵の近くには無料駐車場もあり、車でアクセスするのがおすすめです。
火災で一部焼けただれているようですが、お地蔵様のお顔は残っています。
塩瀬地蔵の背後は深い森です。
手前に手水舎があり、塩瀬地蔵の真ん前には巨木が立っていました。
塩瀬地蔵の案内が出ていました。
「塩瀬さん」の愛称で古くから親しまれてきた塩瀬地蔵は、鎌倉時代の作と言われる。
この石像は、伊勢参りの人々が道中の安全を祈願してお参りされたものと思われる。
また、眼病に苦しんだ人が「薬研の如く凹んだ」この手洗鉢の清水で眼を洗ったところ、見事に快方したとの言い伝えにより「眼の神様」として知られていることから、今も多くの人がお詣りに来られます。
地元では毎年4月24日と9月24日の2回、講員が集って供養し、保存に務めています。
大塩塩瀬講中
巨岩を覆う苔が、この辺りの雰囲気を伝えます。
お伊勢参りの人々が行き交った道だと言います。有難い塩瀬地蔵を前に、道行く旅人も手を合わせたのでしょう。
山深い地ですが、きちんと管理されているのが分かります。
この後訪れた食堂は、残念ながら休業日でした。
土日祝日のみの営業ですので、平日に訪れる方は注意が必要です。ただ、食堂の背後に広がる風景が見事でした!展望台と言ってもいいでしょう。遥か右手奥には青山高原の風力発電機が見えています。目の前に見下ろす市街地は伊賀上野の街並みで、左の方に目をやると南山城村エリアが望めます。そんな場所に塩瀬地蔵は佇んでいました。
山添村指定彫刻の塩瀬地蔵坐像。
鎌倉時代の作で、像高160cmの摩崖仏である。地蔵堂の火災で焼けただれているが、立体感に富んでいる。すぐ前に北野から箕輪に通ずる街道が残っており、昔から通行する人の安全と目のお護り地蔵さんとされてきた。 山添村・山添村教育委員会
下半身ははっきり見えませんね。
坐像とのことですので、お座りになられているのでしょう。
頭上には梵字のようなものが陽刻されています。
塩瀬地蔵の周りには、大小様々な石が散らばります。
山添村の磐座マップによると、現在は石仏として祀られていますが、古代の祭祀場ではないかと解説されています。主石を取り囲むように小ぶりの石が配されている形態は、まさに古代祭祀の跡とする考え方です。そう言われてみれば、そうなのかもしれませんね。神野山の北斗岩などにも、どこか古代祭祀の空気が漂っています。
仏教的な落ち着きを感じるお地蔵さんですが、山添村と言うだけで、なぜかミステリアスな雰囲気をまとい始めます。