四天王寺境内の休憩所「和労堂」の北側に、仏足石が置かれています。
仏像が出来る以前の崇拝対象であった仏足石ですが、その扁平な足の裏には転法輪や魚が描かれていることで知られます。
四天王寺の仏足石。
文字通り、地に足の着いた感じのする仏足石です。
当館から車で10分ほどの距離にある安倍文殊院では、今までに幾度となく仏足石を拝んで参りました。安倍文殊院の仏足石は、拝観者に見やすいように配慮されているのでしょうか、縦にディスプレイされています。その点、四天王寺の仏足石はより自然に近い形を思わせます。
丸池の西側に佇む四天王寺仏足石
四天王寺境内には、幾つかの池が見られます。
六時堂の前、石舞台の両脇には亀の池が水を湛えています。その亀の池の西側に、丸い形をした丸池があるのをご存知でしょうか。亀の池に比べると、やや目立たない場所にはありますが、休憩所の近くとあって、コーヒーでも飲みながらぼんやりと視界に入ってきます。
四天王寺の仏足石。
8月の暑い時期に訪れた四天王寺。境内を歩いていると、さすがに喉が渇いてきました。喉を潤すために冷房の効いた休憩所へと足を伸ばします。休憩所内には四天王寺にまつわる資料もたくさん置かれていて、ほっと一息つきながら目を通します。ふと窓の外に目をやると、丸池の西側にも何かが祀られているのを見つけました。それがこの仏足石だったというわけです。
四天王寺の五重塔を望みます。
歴史を振り返れば、天王寺のランドマーク的存在であったことは間違いないでしょう。今となっては、あべのハルカスにその地位を譲る格好にはなっていますが、創建当時と変わらない偉容を誇ります。
四天王寺仏足石と丸池。
仏足石の西側の道を北へ進めば、三面大黒天の祀られる大黒堂や元三大師堂へと続きます。
四天王寺参拝の帰りは、地蔵山を左手に見ながら中之門から境内の外へ出ました。
こちらは、境内のテントの骨組。
四天王寺のイベントの前にはよく見られる光景ですね。
仏像という偶像崇拝以前の信仰のカタチ、それが仏足石です。
現代風に言えば、足ツボは健康のバロメーターです。足の裏は内臓に通じているのです。そう考えると、昔の仏足石にも、人間の本当の姿が投影されているような気がして参ります。お釈迦様は真理を求めましたが、足の裏にこそ、その人の真実が集約されているのかもしれません。