念願の国産桧風呂が完成しました。
入口の引き戸には、正倉院紋様の花喰鳥(はなくいどり)がデザインされています。瑞鳥が舞い、古都奈良の雰囲気を醸し出します。
檜風呂の引き戸。
正倉院御物(おもつ;ぎょぶつ)にも描かれている図柄です。
ササン朝ペルシアに起源を持つデザインで、国際色豊かだった奈良の都に想いを馳せます。今回の改修工事でお世話になったリノ・ユニバーサルの美馬さんのアイディアで取り付けて頂きました。
東大寺ミュージアムが開館した時、「花喰鳥」を初めて知ることになりました。
引戸のデザインに”奈良の鹿”もご提案頂いたのですが、花喰鳥のイメージが頭の中に強く残っていました。この流れはやはり”花喰鳥”かなと思い、即決致しました。
引手の唐草文様とブラケットカバーロゴ
洒落た意匠を随所に施して頂きました。
木目の美しいヒノキに加え、入口・脱衣所周辺にも様々な工夫を凝らします。
令和2年度はコロナショックに揺れる年となりましたが、既に年頭には改修予定でした。桧には抗菌作用があります。衛生面の再確認が進む中、それ自体で効果を発揮する材であることに間違いはなさそうです。
大正楼檜風呂。
浴槽をはじめ、出窓の台、洗い場のカウンターや桶、腰掛なども全て国産桧です。出窓の分厚い一枚板は、地元多武峯のヒノキを使っています。
花喰鳥が優雅に舞います。
風呂場ということで、温かい色彩の背景に包まれます。
引き戸の引手。
先がクルっと丸くなる唐草文様ですね。
細部にも和柄を施し、昔ながらの空気をまとわせます。
ブラケットカバーには、大正楼のロゴ ”正の字” が入ります。
地元奈良の行燈絵師にデザインして頂きました。
中の脱衣所から見るとこんな感じです。
外の光が透け、狭い空間に居ながら広がりを感じさせます。壁には市松紋様、天井には網代紋様の意匠を施します。鏡面も一新され、清潔感が漂います。
当館の浴室は三つあります。
普段使用するのは「瓢箪風呂(タイル貼り)」と「桧風呂」の二箇所になります。宿泊人数の多い日に限り、三箇所の浴室となります。当日の男女比により、男風呂と女風呂の仕分けになることをご案内しておきます。
大正元年創業の大正楼。
昔ながらの雰囲気を残すノスタルジックな宿です。新たに加わった国産檜風呂と共に、また少しずつ歩みを進めて参りたいと思います!