10月8日の体育の日に催された披露宴。
旧暦の二十四節気でいえば、露が冷たく感じられる寒露(かんろ)の日に当たります。ところが寒露とは名ばかりで、夏を思わせるような陽気の中で結婚式が執り行われました。
鏡抜きの槌。
大神神社の挙式の後、大正楼の大広間で賑やかに食事会が行われました。
里芋やキノコ類が美味しくなる季節です。婚礼プランの献立の中にも、「里芋と鰹節のグラタン」や「刀根早生と占地の胡桃白和え」などの秋食材が並びます。
夫婦円満の鏡を抜いて乾杯!
十七節気の寒露。
七十二候(しちじゅうにこう)では四十九候目に当たり、ちょうど雁が飛来し始める「鴻雁来(がんきたる)」の時節柄でもあります。冬鳥の雁は北方より飛来し、日本で越冬します。春になると再び北へ帰るわけですが、V字編隊で飛ぶ姿は昔の歌にもよく登場しています。
高砂席から見る会場。
今回の参列者は20名様余りで、大黒柱の立つ敷居手前で収まりました。
奈良市に鴻ノ池という地名がありますが、「鴻」は大きな雁を意味しているようです。冬鳥が姿を現し始める季節ですが、この日はビールが恋しくなるほどの体感温度でした。
鏡開きの酒樽。
鏡開き、鏡開きとよく言いますが、正確には「鏡抜き」と表現します。
鏡を抜く、あるいは「四斗樽(しとだる)を開ける」が正しい言い方になるようです。きっと四斗樽(しとだる)も言い間違いが多いでしょうね、どうしても「よんとだる」と読んでしまいます。
丸い鏡のような四斗樽。
真ん丸い鏡は夫婦円満にも通じ、そこに置いてあるだけで縁起の良さがうかがえます。奈良県の田原本町には鏡作神社がありますが、古来より ”鏡” は神そのものであったと言ってもいいでしょう。三種の神器に八咫鏡(やたのかがみ)なんてのもありましたしね。
卓上装花のグロリオサ。
六つの花弁が反り返り、艶やかに高砂席を飾ります。
ゲストテーブルの卓上装花。
鏡抜きの酒樽がセッティングされているだけで、会場の雰囲気が華やかになります。やはりそこは日本人、昔ながらの和婚スタイルに馴染んでいるのでしょう。
酌も用意され、乾杯のご発声を待ちます。
言い慣れた酒樽の「鏡開き」ですが、宴の終わりを「御披楽喜」と言います。
御披楽喜は当て字ですが、忌み言葉を嫌うことに発しているのでしょう。漢字にはそれぞれ意味がありますから、これも日本人らしい発想と言えるでしょう。