飛鳥の橘寺に紫苑(しおん)の花が咲いていました(2011年9月)。
キク科の紫苑には、「追憶」という花言葉が付せられています。
橘寺に開花するシオン。
なぜ追憶という花言葉なのか?
聖徳太子孝養像!父の用明天皇を想う
橘寺は聖徳太子生誕の地と伝わります。
太子が師と仰いだ日羅上人像も見所の一つとなっています。
今昔物語を紐解くと、親の墓前に兄弟が花を供えるというお話が出て参ります。
兄が忘れ草(かんぞう)、弟が思い草(しおん)を供えます。
親を思う孝心に鬼が感じ入ったと伝えられ、シオンには「鬼の醜草(しこぐさ)」という別名も付けられているようです。親を想い、追憶にふける・・・そんなイメージなんですね。
橘寺本堂と、聖徳太子の愛馬 ”黒駒”。
親孝行と言えば、太子堂と呼ばれる本堂内には、父親の用明天皇を想う聖徳太子孝養像が収められています。
本堂向かって右側に安置される聖徳太子孝養像が、境内のシオンの花と重なります。
シオンの開花時期は9月から10月にかけてとされます。
キク科だけに秋の花なんですね。
橘寺周辺には艶やかなヒガンバナも咲いています。
垂れ下がる稲穂とヒガンバナ、その向こう側に橘寺の堂宇を望みます。
放生池の畔にもシオンの花が咲いていました。
東門近くの鐘楼の周りと、二面石から往生院の途中に広がる放生池の畔・・・この二箇所にシオンの花が咲いています。有名な芙蓉の陰に隠れがちですが、橘寺参拝の折にはシオンの花にも注目してみましょう。