広瀬神社に沿って流れる不毛田川(ふけたがわ)。
大和川水系の1級河川である不毛田川は、北葛城郡河合町を流れる大和川の支流として知られます。
広瀬神社一の鳥居から参道をしばらく進むと、右手に祓戸社が見えて参ります。
そこから左手方向に太鼓橋が架かっていて、広瀬神社境内へのもう一つの出入口となっています。
湿地帯を表すフケという地名
太鼓橋の下を流れている小さな川が不毛田川です。
「フケ」関連の地名は奈良県内に約170例ほど確認されています。どうやら湿地や池沼地帯に多く見られ、特に周濠のある古墳付近にフケ地名が多いことが分かっています。
不毛田川に架かる太鼓橋。
「フケ」の用字には様々なものが見られ、不毛の他にも、浮気、布家、更ケ、泓ケ等々があります。
橿原神宮外苑の深田池(ふかだいけ)なども、元をたどれば、「フケ」に由来するのではないかと思われます。長山稲荷社にお参りした際、深田池にも立ち寄ったことを思い出します。フケ→フケダイケ→フカダイケと、時代を経て転訛していったのでしょうか。
広瀬神社の祓戸社。
桜井市の箸墓古墳の近くにあるホケノ山古墳なども、「フケ」の転訛した名前ではないかと言われます。
確かにホケノ山古墳の近くには巻向川が流れており、水の気配を近くに感じます。
広瀬神社拝殿。
水の神様を祀る広瀬神社に、水の気配を感じさせる不毛田川という川の名前。
奈良の伝統行事である砂かけ祭りも、雨乞い祈願の祭事として知られています。広瀬神社に寄り添うように流れる不毛田川の存在が、益々浮き彫りになってくるような気が致します。
拝殿前には酒樽が奉納されていました。
拝殿向かって左側に四角い穴が掘られていました。
とんどの跡でしょうか。
そこからさらに左手へ歩を進めて行くと、水足明神の祠が見えて参りました。
水足明神の背後には池があって、ここでも水の気配を感じさせます。
桜並木の先には、休憩所のような東屋がありました。
「一隅亭」と案内されていますね。
さらに大きな川の堤方向に進み、今来た道を振り返ります。
これは広瀬神社の車止めでしょうか。
堤に出ると、広瀬神社の道標が立っていました。
犬の散歩やマラソンを楽しむ人々と行き違います。この辺りは西名阪法隆寺インターチェンジのすぐ近くではありますが、視界の開けた憩いの場所にもなっているようです。
不毛田川をはじめ、奈良の地名を探っていくと、そこには様々な歴史が見え隠れして参ります。