ぬるべの郷・曽爾村。
漆塗り発祥の地とされる曽爾村ですが、火山性岩石の多い地域です。
兜岳、鎧岳、屏風岩と屹立する姿は見る者を圧倒します。いずれも国の天然記念物に指定され、人気の観光地となっています。今回私は、狭い山道をグルグル登り屏風岩公苑までやって来ました。
屏風岩公苑から見上げる絶壁!
口をあんぐり開けるしかありません(笑)見事な自然彫刻です。いわゆる柱状節理ですが、高さは200m、長さ1.5kmにも及ぶ岸壁でした。周辺には鹿の糞も落ちていて、野生動物も行き来するエリアです。それにしてもスゴイ、曽爾村の大自然には脱帽です。
屏風岩は火山活動の産物!早高神社と鹿の糞
曽爾高原のススキも素晴らしい。
大自然の中に身を置くと、日常の細やかなことを忘れさせてくれます。
「聳え立つ」「切り立つ」迫力においては、鎧岳の威容をも凌駕します。少々アクセスに難がありますが、是非屏風岩の足元まで行く価値はあります。
屏風岩公苑。
お膝元には憩いの場所が設けられています。山桜(ヤマザクラ)が生え、桜の名所にもなっているようです。秋には紅葉も楽しめます。私が訪れたのは初夏で、緑に覆われた屏風岩公苑も清々しかったです。
奥の方へ足を延ばすと、早高神社が鎮座します。
屏風岩に向かって鳥居が建ち、屏風岩を遥拝する格好でしょうか。拝殿の奥には狐が祀られていました。すぐ背後には、眼下を見下ろす絶景が広がります。
屏風岩の周辺地図。
見落としてしまいましたが、自由律俳人・大橋裸木(おおはしらぼく)の句碑もあるようです。病気を患った裸木は、妻の出里である曽爾村で療養していたそうです。
日盛りの木のたち木のかげ
屏風岩の周りには、国見山や住塚山も案内されています。地図の右端にクラインガルテン曽爾が見えますね。
曽爾村の入口に架かる漆部橋。
これは「ぬるべの仙女」かもしれません。橋の下には青蓮寺川が流れています。
屏風岩公苑の駐車場。
春秋の観光シーズンには、500円の駐車料金がかかります。
屏風岩のアクセスルートですが、県道81号(名張曽爾線)の曽爾トンネルを抜け、すぐ左の橋を渡ります。とにかく延々とカーブを描きながら坂道を登って行きます。対向車が来ないことを祈りながら(;^_^A 落石でしょうか、所々に拳大の石が落ちており注意が必要です。車体の底で小石をはじきながらの到着でした。
駐車場脇の看板。
「室生赤目青山国定公園 漆部の郷 曽爾へ」と案内されています。
仰ぐ崖!
なんとも見事な光景です。
遠くから屏風岩を見ると、本当に折り畳む屏風のような姿をしています。
幾つもの峰がそそり立っているのです。
断崖絶壁とはこのことです。
野生動物たちは感動しないのでしょうが、さすがに私たちはポカンとしてしまいます。
さぞ桜と紅葉は綺麗なんだろうと思わせます。
新緑も綺麗ですけどね。
傾斜のついた公苑敷地内。
シーズンには観光客で賑わうのでしょう。今来た道を想像すると、往来の不安も残ります。まさか観光バスは通れないでしょうから、マイカー族の聖地となるのでしょうか。
ひょっとすると、コレが大橋裸木の句碑?
案内札も無く、誰かの墓石かと思ってしまいました。
国指定天然記念物の屏風岩
標高868m、兜岳の南西に屏風のように柱状節理の巨大な岸壁が連なっています。高さ約200m、長さ約1,500mにわたる。
この岩は、室生火山岩主部の流紋岩質溶結凝灰岩で、10数mから450mの層を成していることから、火山活動が何回か繰り返されたことがうかがえる。 曽爾村教育委員会
繰り返された火山活動。
その結末が“屏風岩”となって眼前に迫ります。
早高神社の祠。
拝殿の奥に祀られていました。キツネが“狛犬”の位置取りで、小さな社殿を守ります。
風通しの良さそうな拝殿。
鈴緒が下がっています。見た瞬間、真ん中の通り道は馬道(めどう)かと思いましたが、ちゃんと上り口がありました。それはそうですよね、こんな高所に馬が登って来るはずがありません。
屏風岩との関係が気になるお社です。
背後には素晴らしい景色が広がります。
これはおそらく鹿の糞でしょう。
夜の帳が下りれば、猪や鹿がウロウロしているものと思われます。
ここは曽爾村長野(ながの)。
よくぞここまで登って来ました。夏至間近の日の長い一日で良かったです。既に18時近くでしたが、まだ辺りは明るかったです。とは言え、あまりゆっくりはしておれません。暗くなる前に山を下りなければ・・・
標高868m。
王貞治の868本塁打が頭をよぎりました(笑)往年のファンなら覚えやすい数字ですね。
緑の雲海に浮かぶ屏風岩。
そんな表現も許されるでしょう。この時期ならではの屏風岩を満喫し、この日の曽爾村観光を終えることになりました。