京都の石清水八幡宮に招霊(おがたま)の木が植えられています。
東総門の内側、鬼門封じの近くに霊力の宿る御神木・招霊の木がそびえ立ちます。
石清水八幡宮境内に植えられた招霊の木。
京都の観光ガイドブックなどを見ていても、取り上げられることの少ない石清水八幡宮。京の都の南西に位置し、京都市内の観光地から少し外れた場所にあることもその一因のようです。しかしながら、石清水八幡宮の神性は誰もが認めるところで、伊勢神宮に次ぐ国家第二の宗廟として皇室の崇敬も厚いことで知られます。
1円硬貨の表面のモチーフにもなる小賀玉木
「おがたまのき」の和名は、神道思想の「招霊(おぎたま)」から転訛したもので、和歌や俳句の季語としても用いられています。
小賀玉木(オガタマノキ)とも表記し、モクレン科に属する常緑喬木。日本西南部の暖地に自生し、その高さは約20mにも及びます。樹皮は滑らかな深い緑色をしています。葉は長楕円形で、分厚く光沢が感じられます。春にやや紫色を帯びた白色の花を咲かせ、独特の芳香を放ちます。寄せ集められた丸い果実の形状から、巫女が舞う際の神楽鈴が作られたと言い伝えられます。
招霊の木は日本国1円硬貨の表面にも描かれています。
なるほど、楕円形のラグビーボールをさらに引き伸ばしたような葉っぱが印象的です。
オガタマノキの案内板がありました。
英語案内では、Tree of Spirits と表現されていますね。オガタマノキは床柱にもなり、その葉っぱは香料としても使われてきました。人の生活にも利用されてきたわけですが、「霊を招く木」と書くことからも、この木に神様が降臨してくると信じられていたのでしょう。神の依り代として、全国各地の神社にも植えられているようです。
招霊の木の向こうに見えているのは若宮社です。
石清水八幡宮における男性の守り神ですね。
石清水八幡宮東総門。
閉門されていましたので出入りはできませんが、この東総門を出て階段を下りると、伊勢神宮遥拝所や細橋(ささやきばし)があります。
スーパーの買い物でしか使わない一円硬貨ですが、その取るに足らない1円硬貨にオガタマノキが描かれているとは。
どこか榊にも似ていますが、それもそのはず、天照大神の天岩戸神話において、天岩戸の前で舞った天鈿女命(アメノウズメノミコト)が手にしていたのがオガタマノキとされます。古くには榊などとともに神前に供える木として用いられていたようです。
その昔、太陽のパワーが衰える冬至の頃、呪力の衰えた天皇に新たなチカラを与える宮中の儀式が執り行われていたと言います。その際に、太陽の死と再生の舞を舞っていたアメノウズメ。そんなアメノウズメが持っていたとされる招霊の木。そのスピリチュアルなパワーがどれだけのものか、想像に難くありません。
釣り銭にしかならなかった1円硬貨ではありますが、石清水八幡宮参拝を機に、その見方が変わりりそうな予感が致します(笑)
ありがたや、オガタマノキ。