動物供養で知られる回向院。
犬猫をはじめ、小鳥供養塔やオットセイ供養塔まであります。ペット社会の今、供養に訪れる人も年々増えているのではないでしょうか。そんな回向院境内に、猫の報恩話が語り継がれる猫塚がありました。
回向院の猫塚。
鼠小僧次郎吉の墓の左横にひっそりと佇みます。
祠にはガラスが張り巡らされ、中に縦長の石が安置されていました。
猫の恩返し伝説に彩られる回向院
そもそも「塚」というのはお墓を意味します。
相撲にゆかりのある回向院には力塚もあります。歴代相撲年寄の慰霊碑はド~ンと大きなものでしたが、猫塚は打って変わって小さなものです。回向院の山門から左奥方で供養されていました。
両国物語 Tomb of the faithful cat
猫の恩返し(猫塚)
猫をたいへんかわいがっていた魚屋が、病気で商売ができなくなり、生活が困窮してしまいます。すると猫が、どこからともなく二両のお金をくわえてき、魚屋を助けます。
ある日、猫は姿を消し戻ってきません。ある商家で、二両をくわえて逃げようとしたところを見つかり、奉公人に殴り殺されたのです。それを知った魚屋は、商家の主人に事情を話したところ、主人も猫の恩に感銘を受け、魚屋とともにその遺体を回向院に葬りました。
江戸時代のいくつかの本に紹介されている話ですが、本によって人名や地名の設定が違っています。江戸っ子の間に広まった昔話ですが、実在した猫の墓として貴重な文化財の一つに挙げられます。
猫塚の右側が鼠小僧次郎吉の墓です。
鼠小僧の墓石の前の白い石は「欠き石」と言います。
石を削ってお参りする習わしのようで、その石の粉を財布の中に入れて金運アップを祈願したり、合格祈願の御守りにしたりします。インパクトのある欠き石の左奥に、ひっそりと祀られているのが猫塚です。
動物好きの方なら、是非一度は猫塚の前で手を合わせてみて下さい。