歌枕直美さんのCDを聴いていて、万葉集に登場する古語って本当に面白いなと思います。
つくよみおとこ。
月読男とは何を意味する古語なのでしょうか?
月夜見、あるいは月読と書いてつくよみと読みます。
つくよみとは月の霊や月を数える意味から、”月の神”を表します。
万葉集の時代には、月も神格化されていたわけですね(笑)
月を擬人化する月読男
昼の太陽に代わって夜空に浮かび上がる月は神秘的な存在であったのだろうと思われます。
冒頭の月読男(つくよみおとこ)とは、月を擬人化していう語です。
歌枕直美さんのCD「風月同天」。
同じ月を全世界の人々が眺めている・・・そう思うだけで、実に荘厳な雰囲気に包まれます。
つくよみおとこという言葉に出会ったのは、歌枕直美さんのCD「みやびうた」の中です。
奈良時代前期の万葉歌人湯原王(ゆはらのおおきみ)の歌が引用されている「天に坐す(あめにます)」というタイトルの楽曲。
天に坐す(あめにます) 月読(つくよみ)をとこ
賂(まひ)はせむ 今夜(こよひ)の長さ 五百夜(いほよ)継ぎこそ
まひはせむとは、供え物を差し上げますという意味になります。
賂(まひなひ)という古語があって、礼として物を贈ること、あるいはその品物のことを指します。
五百夜継ぎこそとは、五百夜分もつなぎ合わせて下さいという願望を表現しています。
作者の湯原王は、よほど美しい月を観賞していたのでしょうね。
月読男(つくよみおとこ)・・・万葉集を理解するに当たって、覚えておきたい深みのある言葉です。