大徳寺瑞峯院の方丈裏に、十字架の石組で知られる閑眠庭が佇みます。
キリシタン大名の大友宗麟公創建と伝わる大徳寺瑞峯院。十字架のクロスが浮かび上がる作庭は、キリスト教を保護した大友宗麟に因んでいます。
閑眠庭前の縁側に着物姿の女性が坐しています。
私が瑞峯院を訪れた時、ちょうど方丈横の茶室で何やら会合が開かれていました。お茶会と呼ばれる集まりではないかと思われます。
閑眠高臥して青山に対す
閑眠庭の名前の由来は、「閑眠高臥して青山に対す」という禅語から来ています。
年老いて全ての事が物憂くなり、心に掛かる何物もなく、こだわりも全て消え失せ、ただただ静かに眠り青山に対するという境地。長い修行の末に辿り着いた悟りの境地とでも申しましょうか、肩の力が抜け、自然と一体化する仙境のような世界が感じられます。
十字架に組まれた閑眠庭の石組。
縦に4個、横に3個の石の流れがクロスに組まれ、万民の霊が弔われています。
京都ひるバスの大徳寺バス停。
京都ひるバスは世界遺産や重要文化財を効率よく周遊するためには欠かすことの出来ない交通機関です。
ちょうどこの辺りでは、金閣寺、大徳寺、北大路駅を結ぶルート設定になっています。北大路駅を回った後は、下鴨神社、銀閣寺、平安神宮にも停車します。
瑞峯院の方丈。
方丈は天文4年(1535)に建造されています。室町時代の禅宗方丈建築の遺構をとどめ、建築史上貴重な存在として重要文化財にも指定されています。
瑞峯院方丈の廊下。
参拝客が閑眠庭前の廊下を歩きます。
独坐大雄峰に通じる凛とした雰囲気の独坐庭に対し、こちらの閑眠庭には穏やかな空気が流れています。
方丈に掲げられていた「瑞峯院」の額。
瑞峯院の小冊子によれば、この「瑞峯院」の額は後奈良天皇の宸筆とされるようです。
閑眠庭側から方丈を抜け、独坐庭側を望みます。
茶会の参加者でしょうか、何やら対座してお話をされています。
6月末ということで蒸し暑い一日でした。
方丈内では扇風機が回っていました。
宣教師フランシスコ・ザビエルについて、洗礼を受けた大友宗麟。
日本庭園といえば、日本の中の日本を表すと言っても過言ではないほど、最も日本らしいものとして外国人観光客からも受け入れられています。そんな日本庭園に十字架が組まれている・・・一瞬目を疑う観光客も多いのではないでしょうか。
瑞峯院の拝観入口手前に白雲木の実が成っていました。
拝観受付の係りの方に伺うと、ちょっと前まで白い雲を連想させるような花が咲いていたとのことです。調べてみると、白雲木の開花時期は5月から6月で、5月のゴールデンウィークシーズンにも楽しむことができるそうです。
独坐庭に閑眠庭。
大徳寺瑞峯院を拝観すれば、一度に二つの庭を楽しむことができます。